全くの持論だが、名作映画はなぜか回想から始まる映画が多い。1997年の公開当時、世界歴代興行収入のトップに君臨した「タイタニック」や、ジョニーデップが人造人間を演じたファンタジー映画「シザーハンズ」、映画史に燦然と輝く普及の名作「ニューシネマパラダイス」、アカデミー賞を獲得したアメリカ映画「アメリカン・ビューティ」など、挙げればキリがない。
ではなぜ回想から始まる映画に名作が多いのか。
まず一つは、回想から始まることで話の構成がわかりやすくなる点だ。文章でもそうなのだが、やはり結論から話を始めるとわかりやすい。または、最初に問題定義を投げかけておくことで「なぜこうなったか」を説明しやすくなる。ニュー・シネマ・パラダイスでは、ある人物(アルフレード)が亡くなったという知らせを受けることから回想が始まり、タイタニックでは沈没したタイタニック号の生き残りである老婆の話から回想が始まる。現在の状況を説明するために、空白の歴史を埋めるかのごとく回想が始まり「なぜこうなったか」を回収しながら物語が紡がれていく。
非常にわかりやすくて、ワクワクする構成だ。実際に僕も、上記で並べた映画はもちろん、他の回想で始まる作品も大好きだ。物語において“回想”とは、構成をきれいに見せると同時に、観客を世界観にどっぷりと誘うために欠かせない要素なのだと思う。
そしてもう一つは、人間は昔話に弱いという点だ。僕たち日本人も、子供の頃に桃太郎や浦島太郎などの昔話を聞かされることは何度もあったし、今でも好きな人は多い。「むか〜しむかし、あるところに」と聞かされれば、思わず聞き耳を立ててしまうのが僕ら人間ではないだろうか。世界中で絶大な人気を誇るディズニー映画の入りも、このような演出がなされている。
最近で観た作品でいうと、デヴィット・リーンの「逢びき」という映画も回想から始まる映画だった。この作品は、僕の人生のマイベスト映画に認定したのだが、やはり“回想”という手法は、物語の面白みが増すのだと思う。「君に読む物語」などの作品は、昔話を活用しながら“現在”にサプライズを用意している。このような構成作りも回想ならではなのだろう。
回想は、作品づくりにおいて非常に多用される手法でもある。しかし、だからこそ過去と現在の物語を上手に紡いでいかなければならない。それに加えて、物語自体が面白くなければ名作と呼ばれるほどにはならないだろう。
名作には回想映画が多い。そんな密かな発見を、共有したかった。
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