本編の結末に関わるネタバレはありませんが、本編の内容は含まれます。
パターソンは、僕が愛してやまない映画の一つだ。日常をこれほどまでに慈しめる映画はない。
このレビューでは、パターソンの劇中に出てくる双子の意味や、この映画の本質について僕なりに語ってみよう。
『パターソン』のあらすじと概要

パターソンの町に住むバス運転手のパターソンは、今日も妻の隣で起きてから出勤する。家に帰ると愛犬マービンを散歩に連れ出し、お馴染みのバーで1杯ひっかける。何が起こるわけでもない日常に、ちょっとしたバスの故障や知人のトラブルがパターソンを悩ませる…。毎日をシンプルに愛おしく過ごしていく。
【監督】
ジム・ジャームッシュ
【出演】
アダム・ドライバー(パターソン)
ゴルシフテ・ファラハニ(妻:ローラ)
【日本劇場公開日】
2017年8月26日
【時間】
118分分
【国】
アメリカ
映画『パターソン』のレビュー
パターソンのレビューを綴っていく。
ジム・ジャームッシュが好きになったきっかけは『コーヒー&シガレッツ』だったが、一番好きな作品は何かと聞かれれば、即答で『パターソン』と答えるだろう。
パターソンは“究極の日常美”

僕の大好きな映画の一つであるパターソン。それはパターソンの地に住む、パターソン(アダム・ドライバー)という男の日常を切り取った作品だ。
僕がこの映画を愛してやまない理由は、究極の日常美が堪能できるからである。
何気ない日常のなかで起こる些細なハプニングやトラブルが、主人公を翻弄する。

ジム・ジャームッシュ監督といえば、「コーヒー&シガレッツ」や「ミステリートレイン」などが有名な監督だが、彼の撮り方は不思議と面白い。
日常的でありながら、どこかわざとらしい。何気ない一コマでありながら、どこか絵画的で詩情的だ。
それは観ている人の心をしっかりと掴んで離さない引力となり、画面にそっと視線を送り続けられる魅力となる。
僕はパタソーンを観ながらコーヒーを啜り、クスッと笑ってほっこりする。まるで友人と対話しているかのようなこことい良さが、この映画にはあるのだ。
普通だけども変化がある。変化があるからこそ日常であり続ける。これぞ、究極の日常美だと思う。
パターソンと「双子」の意味

「パターソン」は、パターソンの地に住むパターソンというバスドライバーのお話。つまり場所と主人公は双子のようなもの。
双子はこの作品のテーマをそのまま表しているのではないかと思う。
そして、主人公のパターソンは妻から「双子の夢を見た」と言われ、「一人に一つずつだね」と答える。それからパターソンの目には双子ばかりが目につくのだ。僕らも最近の出来事が起きたり、ちょっとした気になる言葉をもらったりすると、急にそれらを意識して目につくことはないだろうか。
そんな些細な心情も切り取って写しているのが面白い。
『パターソン』レビューまとめ
ジム・ジャームッシュ監督の作品は、大好きだ。特にこの「パターソン」は、僕にとって大事な作品である。
日常の「美しさ」と「楽しさ」を教えてくれた作品だからだ。
そして、主演のアダム・ドライバー。彼はハリウッドの前線で活躍する実力派俳優である。
だが、撮影には一人でひょこっと現れるらしい。まさにパターソンのように、お散歩しているかのように。
何気ない日常を詩的に美しく、幸せへと昇華してくれる「パターソン」。この作品は、きっとあなたの日常も美しくしてくれるであろう。
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